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お悩み!快傑! VOL.2 低湿度環境を省エネに実現!編

VOL.2 低湿度環境を省エネに実現!編

きっかけはお客様のご相談から

年間を通じて低湿度かつクリーンな製造環境が必要となる24時間稼働の食品工場の建設に際し、お客様から「新工場では省エネとなる新技術を提案して欲しい」というご要望があり、このプロジェクトはスタートしました。当初の設計図では、空調機の冷水コイルで低湿度になるまで冷却除湿し、蒸気コイルで室内が適温になるまで加熱(再熱)する方式となっており、さらに室内清浄度のため循環風量が大きいこともあり大量のエネルギーが懸念されました。冷水を供給する冷凍機や蒸気を供給するボイラは最新の高効率型が選定されていましたが、それだけでは電気とガスの消費量を大幅に減らすことは難しく、これまでにない革新的な技術提案が必要な状況でした。

次世代の省エネ工場を目指して「エコサラ®」を提案

 予冷と再熱に外部からのエネルギーを必要としないゼロエネ予冷とゼロエネ再熱の「省エネ除湿給気ユニット:エコサラ®」の追加を検討しました。このエコサラが除湿と室内陽圧を担当し、空調機は室温を担当させる潜熱顕熱分離型の空調システムです。今回の場合、冷却エネルギーの大幅な削減と冷凍機容量の低減、さらに加熱用の蒸気設備(コイルや配管)を不要とし、ガス消費量をゼロにできます。
 お客様への説明の際は、この空調方式のメリットを説明するだけでなく、オフィスの低湿度化を実現させた1年間の運用実績はあるが、工場での導入実績はないことも正直に話しました。お客様から「この技術はすごく良い!」とすぐに賛同を得て、「今度の新工場で使いたいので、設計や工事の関係者にも説明し、導入に向けた検討と詳細な省エネ効果試算をお願いします。」とその日から動き出すことになりました。大幅な変更設計となる提案でしたが、省エネでシンプルなシステムになる技術をご評価いただけたため、誰もが協力的で導入までスムーズに進めることができました。

実運用ではガス不要・電力も半分に

工場稼働後の5月から10月までの冷房運用時期の実績では、一次エネルギー消費量とCO2排出量を78%削減でき、運転費で388万円削減(削減率82%)と、試算以上の省エネ効果を確認できました。室内空間の温湿度も良好で、低湿度環境と省エネルギーの両立が可能な空調システムとして、お客様の社内にも紹介していただけ、他の事業所でも連続して採用していただけるようになりました。
 このプロジェクトではお客様や工場建設関係者の皆様方と、低湿度空調のエネルギー課題を共有できたことや省エネを目指して同じベクトルで素早く行動できたことは、私たちにとっても貴重な経験となりました。今後も同様のお悩みをもつお客様のために、既存の施設や設備に併せたカスタマイズや省エネ提案により、お客様の課題を共に解決していきたいと思っています。